8〜9月:公営住宅に住む外国ルーツ住民へのヒアリング
トッカビでは、休眠預金活用事業として取り組んでいる「公営住宅を活用した外国人居住者との多文化共生モデルの構築」に向けて、2025年8月〜9月にかけて継続的に「ききとり調査」を行ってきました。
この調査は、すでにある制度や支援の不足を外側から想像するのではなく、実際に団地で暮らしている方々の声から、現状や課題、可能性を丁寧に把握することを目的としています。
この記事では、これまでに行ってきたききとり調査の概要と、見えてきた共通点を、途中経過として報告します。
ききとり調査の概要
調査の時期
- 2025年8月〜9月
調査の対象
- 八尾市内の公営住宅(団地)に暮らす、外国につながる住民の方々
- 主にベトナムにルーツをもつ世帯(就労、結婚、子育て世代など)
調査の方法
- 対面での聞き取り(1人あたり40〜60分程度)
- 日本語を基本に、必要に応じてやさしい日本語や通訳アプリを併用
- 「困りごと」だけでなく、「普段の暮らし」「安心していること」「地域との関わり」も含めて聞き取る形
ききとりから見えてきた日常の風景
今回のききとりでは、「大きなトラブル」よりも、日々の生活の中で積み重なっている小さな困りごとや、言葉にされにくい不安が多く語られました。
住まいについて
- 公営住宅は「家賃が安く、部屋が広い」ため、子育て世帯にとっては安心感が大きい
- 一方で、
- 網戸がなく自費で設置している
- 給湯設備が十分でない
- 草刈りや清掃のルールがわかりにくい
など、日本人にとっては「前提」になっていることが、十分に伝わっていない場面がありました。
言葉と情報の壁
- 団地や行政からの案内は、ほとんどが日本語のみ
- 学校や保育所、病院、市役所からの連絡は「わかるところだけをアプリで翻訳」して理解している
- 防災訓練や避難場所について
- 「聞いたことがない」
- 「どこに逃げればいいかわからない」
という声も複数ありました。
地域との関係
- 日本人住民との関係は、
- 挨拶はする
- 嫌なことを言われた経験はほとんどない
という声が多く、表立った対立は少ないことがわかりました。
- その一方で、
- 深い話をする関係にはなっていない
- 団地の行事や自治会のことは「知らないまま」
という状況も多く、「関係が悪い」というより「交わるきっかけがない」状態が続いています。
印象的だった声
ききとりの中で、何人もの方が共通して語っていたのは、次のような思いでした。
- 「困っても、だいたい自分で何とかしている」
- 「友だちや同じ国の人に聞くことが多い」
- 「日本の人に迷惑をかけたくない」
支援を「求めていない」のではなく、頼り方がわからない/頼れる場所が見えにくいという状況が浮かび上がってきます。
ききとり調査を通して見えてきたこと
今回の調査を通して、私たちは次のような点を強く感じています。
- 多くの外国人住民は、すでに地域の一員として静かに暮らしている
- しかし、
- 情報
- 防災
- 子育て
- 団地内ルール
などについて、「聞ける場所」「確認できる場所」が不足している
- その結果、問題があっても表に出にくく、孤立が深まりやすい
だからこそ、制度や支援を「上から届ける」だけでなく、
気軽に立ち寄れて、相談できて、顔が見える関係を少しずつつくっていく居場所の必要性が、改めて確認されました。
これからに向けて
ききとり調査は、ここで終わりではありません。
今後は、
- これまでに聞いてきた声を整理し
- 地域の日本人住民や支援者の声とも重ね合わせながら
- 「安中 多文化の居場所(仮)」の具体像を検討していきます。
このサイトでは、引き続き、
- 調査の報告
- ワークショップの様子
- 居場所づくりの過程
を、できるだけ開かれた形で発信していく予定です。
この取り組みが、特別な誰かのためだけでなく、地域全体にとっての「安心の土台」になることを目指して。
今後の発信も、ぜひご覧ください。


