7月から実施した小中学校・地域福祉委員会への事前ヒアリングについて
トッカビでは、休眠預金活用事業として取り組んでいる「公営住宅を活用した外国人居住者との多文化共生モデルの構築」に向けて、本格的なききとり調査に先立ち、2025年7月から、小中学校や地域福祉委員会などへの事前ヒアリングを行ってきました。
このヒアリングは、団地や地域の中で日常的に子どもや住民と関わっている立場の方々から、
**「現場ではどんなことが起きているのか」「すでに感じている変化や課題は何か」**を共有してもらうことを目的としたものです。
この記事では、その事前ヒアリングの概要と、そこから見えてきたポイントを報告します。
事前ヒアリングの概要
実施時期
- 2025年7月〜
ヒアリング先
- 団地周辺の小学校・中学校
- 地域福祉委員会、地域で活動する関係者
方法
- 対面での聞き取り・意見交換
- それぞれの立場から見た「気になっていること」「対応に悩んでいること」を中心にヒアリング
学校現場から聞こえてきた声
小中学校へのヒアリングでは、外国につながる子どもたちが増えている現状について、
比較的落ち着いた受け止めが語られる一方で、教員個人の工夫や努力に支えられている場面が多いことが印象的でした。
- 日本語の理解に差があり、授業や連絡が十分に伝わらないことがある
- 保護者とのやりとりは、翻訳アプリや限られた人的サポートに頼っている
- 学校外での生活状況(家庭・団地での様子)が見えにくい
特に、「学校の中では対応できていても、放課後や家庭の状況までは把握しきれない」という声は、複数の学校で共通して聞かれました。
地域福祉委員会・地域側の視点
地域福祉委員会など、地域で住民と関わっている立場からは、次のような声がありました。
- 団地に外国人住民が増えていることは感じているが、接点は限られている
- 行事や見守り活動の案内が、十分に届いていないのではないかという不安
- 困っていそうな様子があっても、声のかけ方に迷う
「関わりたい気持ちはあるが、きっかけがない」「どう踏み込めばいいかわからない」という戸惑いが、地域側にもあることが見えてきました。
事前ヒアリングを通して見えてきたこと
7月から行ってきた事前ヒアリングを通して、次のような点が浮かび上がってきました。
- 学校も地域も、それぞれの現場で工夫しながら対応している
- しかし、その多くは属人的・個別対応に支えられている
- 学校・地域・家庭(団地)をゆるやかにつなぐ「中間的な場」が不足している
大きなトラブルが起きているわけではないからこそ、
課題が共有されにくく、支援や連携も生まれにくい状況が続いていることが確認されました。
次のステップへ
この7月からの事前ヒアリングを踏まえ、トッカビでは、
- 8〜9月に団地居住者本人へのききとり調査を実施
- さらに、地域の関係者が集まり、居場所のあり方を考えるワークショップへ
と、段階的に取り組みを進めてきました。
学校や地域から聞こえてきた声と、実際に暮らしている方々の声を重ね合わせながら、
**「誰かだけががんばる」のではなく、「地域全体で支え合える形」**を探っていきます。
今後も、このサイトで取り組みの経過を順次報告していく予定です。


