映画「終わらない戦争」について – 끝나지 않은 전쟁 –

戦後80年を迎えた今、私たちは「戦争が終わった」その先に続く時間を、どのように生きてきたのでしょうか。
かつての戦争によって奪われた多くの命と尊厳。そのなかには、いまだ癒えることのない傷を抱え続ける人びとがいます。

ドキュメンタリー映画『終わらない戦争』は、日本軍「慰安婦」とされた女性たちの証言を通して、戦時の暴力とその後の沈黙、そして戦後補償の課題を静かに問いかけます。
「戦争の終わり」とは何か。
加害と被害の記憶をたどりながら、私たち一人ひとりが向き合うべき「戦後」のかたちを考えます。


映画のもとになった被害者の証言

【被害者証言】


ジャン・ラフ・オハーン(オランダ)

オランダ名でジャン・ルフ・オヘルネとも表記される。オーストラリア国籍を取得し、在住した。2019年8月19日逝去。1923年、オランダ植民地下インドネシアの砂糖農園の裕福な家庭に生まれる。日本軍占領下でアンバラワ抑留所に家族とともに入れられる。日本軍は収容された若い白人女性を選別し「慰安所」に収容、長期にわたって監禁・レイプした。その中の一人が彼女だった。戦後理解ある配偶者に恵まれて後半生を送ったが、「慰安婦」によって受けた傷は彼女が幸せな気持ちで人生を送ることを決して許さなかった。


幸紹蘭(ウェイ・シャオラン)〈中国〉

中国・桂林、2019年5月5日逝去。1944年11月、進駐してきた日本軍によって、乳飲み子とともに拉致された。6〜7人の女性たちと馬嶺鎮の「慰安所」に監禁され、日本兵に強かんされる毎日が3カ月続いた。命からがら逃げだしたが、やがて「慰安所」で身ごもった子どもが生まれると、村人からは「日本鬼子」と噂され、夫からは「売女!」とののしられるようになった。幸紹蘭さんと息子の羅善学さんの戦後は、苦難の連続だった。羅善学さんは日本兵の子であるために、他の弟妹からも差別され、小学校も途中で退学し、周囲の社会から隔絶された環境で暮らさざるをえなかった。


李守山(イ・スサン)〈韓国〉

2019年3月31日逝去。いい働き口があると騙されて中国国竜江省牡丹江に連れて行かれ、戦争の終わるまでの2年間「慰安婦」としての生活を強要された。「慰安所」生活の中で妊娠し、子宮を摘出された。解放後、祖国に帰ることもできなかった李守山は、善良な朝鮮民族共産党員の配偶者を得て養子を育てたが、自分の受けた過去を子どもに話すことはできなかった。この映画のインタビューを受けないと当初拒否していたが、安倍首相の妄言に怒り、インタビューを受けることにした。


フェリシダッド・デ・ロス・レイエス〈フィリピン〉

フィリピン、マスバテ島出身。2020年2月1日逝去。1943年、14歳の時、学校の教室から日本軍の駐屯地へ連れて行かれ強かんされ監禁された。憔悴のあまり見るに見かねて解放された。帰宅後何度も死にたいと訴えたが、母の「人の命は神様が決めるのだから、自殺してはいけない」という言葉に希望を持ち、生き延びることができた。


ピラール・フリアス〈フィリピン〉

1927年、フィリピン、ルソン島南部に生まれた。2013年9月26日逝去。1942年の終わりの頃、ゲリラ討伐に来た日本兵に、顔を2カ所刺され、水に顔を押し付けられ、後ろ手に縛られ、おばと一緒に3名の日本兵に強かんされる。数週間後日本兵は村人全員に村からの退去を命じ、村の家は学校を除き全て焼かれた。18歳の時、今度は多くの日本兵が来て、他のフィリピン女性3名と腰ひもで繋がれ、連行され、繋がれたままレイプ、洗濯などをさせられた。解放後結婚したが「慰安婦」被害が問題となり結婚生活は破たんした。


【監督】金東元(キム・ドンウォン)

韓国のドキュメンタリー監督。1955年生まれ。
この映画を撮ったのは、アメリカ下院議会で「慰安婦」決議が上がった時だった。日本の右翼勢力はアメリカの新聞に「慰安婦は売春婦だった」「歴史的証拠はない」などと意見広告を出し、当時の安倍首相も「狭義の強制連行はなかった」と国会で答弁した。
(その後、安倍首相は被害者に対してではなく、あろうことかブッシュ大統領に謝罪した)
これに対して金東元監督はこう喝破している。「日本政府は被害者の話を証拠として認めていない。しかし証言よりも確かな証拠はない」


【作品情報】

ドキュメンタリー映画『終わらない戦争』
2008年制作/60分/韓国/日本語字幕版

被害者の証言と、この問題に関わる研究者や政治家などの聞き取りを収録し、
日本軍「慰安婦」問題を重層的にとりあげ、問題の本質に迫る作品。

映画会情報

上映作品:ドキュメンタリー映画『終わらない戦争』

主催:NPOトッカビ

日時:2025年11月29日(土)
13:30 開場・受付 / 14:00 開会(上映60分)
15:00~16:00 フリートーク
※「終わらない戦争」の上映後、作品を通して感じたこと、考えたことを、参加者どうしで自由にお話しする時間です。 特別な準備や知識は必要ありません。 話すのが苦手な方は、聞くだけの参加も歓迎です。静かに振り返りたい方もどうぞそのままでご参加ください。

会場:八尾市文化会館(プリズムホール)4階 会議室1
上映協力金:正会員 無料 / 賛助会員 200円 / 一般 500円

※映画会当日、会員への登録も受け付けています。また、サイトの会員登録フォームもご利用いただけます。
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